主人公は元大賢者?ラノベ&マンガ「賢者の弟子を名乗る賢者」の魅力をネタバレ込みで徹底解説!

「賢者の弟子を名乗る賢者」は、異世界転生ではなくVRMMOゲームに閉じ込められるファンタジー作品です。ゲームの世界が舞台となっている事で一般的な異世界系漫画よりも親しみやすいという点から話題を集めています。今回は、魅力を分かりやすくまとめたので新しい漫画を探している方は参考にしてみてください。


美少女の主人公の元の姿は・・・

主人公「ミラ」は可愛い見た目なのにとにかく強いのが「賢者の弟子を名乗る賢者」の特徴として挙げられます。VRMMORPGゲーム「アーク・アースオンライン」をプレイしていた主人公「咲森鑑」は、ゲーム内のアルカイト王国で「九賢者」の1人「ダンブルフ・ガンダドア」としてゲームを楽しんでいました。とある日、余った電子マネーで購入したアバター変身アイテムを使って遊んでいた時に、徹夜の疲れから寝落ちをしてしまい目覚めると美少女の姿のままで、元のダンブルフの姿に戻れなくなっていました。元の姿に戻れないだけではなく、ログアウトしようとしても出来なかったり本来は同じセリフしか喋らないNPCが自我を持って行動している様子を見て、ようやくVRMMOの世界が現実になった事に気付きます。


見た目は威厳のある老人から美少女に変わっても、九賢者としての力は健在で老人としてロールプレイしていた時の名残で喋り方が古臭いというユニークなキャラクターとなっています。また、咲森鑑は九賢者として様々なプレーヤーから羨望の眼差しで見られていた事から「ダンブルフとしての評価を落としたくない」といった何とも人間らしい考えに至ります。その結果が「賢者の弟子」として「サラ」という名前を名乗り、元の世界に戻るために様々な動きを始めます。


ゲーム世界が現実になった直後は動揺してばかりだったミラですが、今まで遊んでいたゲームの世界という事で順応するまでの早さが異常でした。「異世界ではなくゲーム世界」である事を認識させる「VR」や「ゲーム」という単語が頻繁に登場しています。「あのゲームにあったシステムに似ているな」等の実体験を思い出しながら、ワクワクした気持ちで読み進められる事も他の異世界系漫画にはない「賢者の弟子を名乗る賢者」の魅力の1つです。

オンラインゲームの世界ならではのものが続々登場!

作品内に「ネカマ」や「いいね!」といった異世界には絶対にない、オンラインゲームやSNSでは当たり前の用語・システムも存在します。さらに、物語内には「操者の腕輪」等のゲームプレーヤー用の操作端末を模した腕輪やオリジナルアイテムがあったりとゲーム要素も多く詰め込まれています。

「異世界ではなくゲーム世界」は、ゲーム世界なので人口のほとんどがNPCです。しかし、NPCにも自我が芽生えた事で作品内には、魅力的なキャラクターが数多く存在します。漫画版では、原作のweb版・小説版では説明されていないキャラクターの細かな箇所を作画担当の「すえみつぢっか」がしっかりと描写しているので、文字では伝わらなかった雰囲気に気付く事も出来ます。また、キャラクター1人ずつ丁寧に描かれているだけではなく「ゲーム内アバター」という設定があるので、簡素な服装から課金要素が垣間見える豪華過ぎる服装まで様々なパターンの衣装にも注目するとより楽しめます。


主人公である咲森鑑だけがゲーム世界に閉じ込められているわけではありません。アルカイト王国だけでもかなりの数のVRプレーヤーが閉じ込められています。中には、咲森鑑の転移より30年前に現実となったアルカイト王国に転移したキャラクターもいます。プレーヤーによっては見た目と中身の性別・性格が異なっているキャラクターも多く、特に九賢者のプレーヤーは美女なのに男言葉だったり不死っ娘愛好家だったりとかなり個性の濃いメンツが揃っています。ちなみに、アルカイト王国の王様も元々はVRMMOプレーヤーのミリタリーオタクで、10式戦車等の日本にある兵器を魔導工学で再現しようとした過去を持っていたりします。

さらに、「賢者の弟子を名乗る賢者」は世界設定の細かさにも定評があります。咲森鑑ら九賢者が所属するアルカイト王国以外にも、ルナティックレイクやシルバーホーンといった複数の国家・研究学園都市があり、それぞれに名前の由来や異名が用意されています。また、元からアーク・アースオンラインにある組織だけではなく、「冒険者総合組合」という元プレーヤーが作った冒険者のための組織もあったりします。冒険者総合組合は、冒険者のレベル・クラスの管理やクエスト斡旋、ダンジョン管理等、「ギルド的」な役割を担当しています。

ゲーム世界に転生といった他の異世界系漫画とは少し違ったテイストのある「賢者の弟子を名乗る賢者」は、「元の世界に戻る」という分かりやすいゴールに向かって、九賢者を集めながら様々なトラブルを解決していきます。原作と同様に細かな箇所に伏線が用意されているのでちょっとした驚きや予想外の展開も待ち構えています。シリアスなシーンとギャグの配分も絶妙でクスッと笑いながら読めるだけではなく、「ゲームをクリアしていく感覚」でサクサク読める「王道ファンタジー」としてもおすすめの作品です。