アニメ「盾の勇者の成り上がり」の魅力をネタバレ込みで徹底解説!

2019年1月から放送された「盾の勇者の成り上がり」は、異世界からの成り上がりをテーマとした作品です。現代世界から選ばれし勇者として召喚されるも、裏切りに遭い、全てを失ってしまった盾の勇者こと岩谷尚文。人を信じられなくなった彼が選んだ仲間は……奴隷の女の子!?物語の始まりをおさらいしていきましょう!


物語は平凡なオタク大学生、岩谷尚文が不思議な本に導かれ、異世界に召喚されるところから始まります。尚文を含む4人を異世界に呼び出したという王様からの説明で、自分が世界を救う四聖勇者の一人「盾の勇者」であることを聞かされます。夢にまでみた異世界召喚に舞い上がっていた尚文ですが、街に出てみると人々の自分を見る目がおかしいのです。まるで親の仇を見るような視線で蔑まれ、仲間になってくれたのもたったの一人だけでした。


しかしその仲間になってくれた一人がトンデモない悪女だったのです。マインという女性が仲間になったのですが、なんと彼女は王様からもらった武具や補助金を奪った挙句、事実無根の強姦罪の擦り付けまでやってのけました……名は体を表すとはよく言いますが、彼女ほどストレートに「地雷」だった人物は創作世界でも珍しいのではないでしょうか?当然、彼も黙っているわけがなく反論をしますが誰も信じてはくれません。それもその筈、盾の勇者は四聖勇者の中でも「悪魔」と忌み嫌われており、盾の勇者が不利になることなら逆に協力すら惜しまないからです。


こうして、金も信用も失った尚文は、人を信じられなくなり、温厚だった性格を冷徹なものに変え、どん底へと落ちていきました。

主人公なのに奴隷の少女を・・・!?

どん底暮らしの尚文は、街の外のモンスターを倒すことで、なんとか生活費を稼いでいました。ですが、盾の勇者だけあって攻撃は専門外、自分一人での戦いに限界を感じるようになります。しかし事件のせいで人間を信じられなくなった彼にとって、仲間を作るなどはそもそも考えの外でありました。そんな彼に一人の商人が声をかけてきます。ただの商人ではありません、奴隷を扱う奴隷商人だったのです。

奴隷は決して裏切らない呪いがかかっていると聞き尚文は奴隷を購入します。正直な所このあたりの彼は主人公というにはふさわしくない言動が多いです。奴隷を買う際に「裏切ったあの女を奴隷にすると思えば」という理由で少女の奴隷に決めるなど、小物臭さが抜けません。しかし、買われたこの奴隷の少女こそが、尚文の心を救うことになります。

少女の名をラフタリアといいます。彼女はケモノの耳が生えたラクーン種と呼ばれる種族の亜人で、尚文には自分を裏切ったあの女と同じ性別だったことを決め手に購入されました。きっと彼女は恐ろしかったのでしょう、奴隷として酷い扱いを受け、死んでいくのだろうと。しかし尚文は奴隷だからと無残に扱うことはせず、服を、武器を、食事を与え、戦いが終われば彼女の頭を撫で、戦闘での活躍を称えました。それは彼にとって戦わせるにあたって効率よく物事を進めるための行為であり、頭を撫でたのに至ってはただの気まぐれでしかありませんでしたが。おおよそ彼女が予想していた奴隷の待遇とは真逆なものだったのです。


そうしてラフタリアは尚文を慕い、彼の役に立とうと必死になって、盾である彼の代わりに、剣となってモンスターと戦います。そんな彼女の健気な献身に、どん底だった彼の心が少しずつ、少しづつ和らいでいきました。ですが忌まわしい「盾の勇者」という肩書が、彼に安らぎを与えることを良しとしませんでした。

尚文を含む四聖勇者が課せられる責務。それは定期的襲い掛かってくる「波」と呼ばれるモンスターの大群からから王国を守ること。もちろん尚文にはこの国を守ってやろうという気持ちなんて欠片もありません、ただ国から支給される報奨金目当てでした。彼はなぜか最近口うるさくなったラフタリアを連れ「波」に挑みます。

途中、王国の騎士団の妨害に遭いそうになりながらも、何とか盾の勇者として王国を守り抜いた尚文。報酬を受け取るべく、王の主催する祝勝会に参加します。ですが前回、王宮で嵌められたこともあって嫌な予感を感じていました。その予感が的中したのか再びこの王宮内で事件が起こります。

槍の勇者、元康が尚文はラフタリアを奴隷として酷い目に合わせていると言いがかりをつけ、更には自分と決闘して勝ったのなら、彼女を開放することを要求してくるのです。もちろん尚文はラフタリアを酷い目になんて合わせてはいません。しかし槍の勇者はそもそも考え足らずな面があったのも否めないのですが……彼は仲間の一人に唆されていたのです。その仲間は王女マルティ、尚文を陥れたマインの本当の姿でした。尚文が落ちぶれたのも、この決闘の状況も、マルティが自分のお気に入りの勇者を優遇するために「悪の盾の勇者から、槍の勇者から女の子を開放した!」という名目を作るべく仕組まれたものだったのです。

決闘に敗れその事実に気づいた尚文の絶望はさらに深まります。そしてラフタリアの奴隷の契約が消えると、その絶望は極まり、盾の勇者が持つ盾に「カースシリーズ」と名のついた恐ろしいスキルが開放されてしまいました。このままでは不味いことになるというところで、ラフタリアが元康の頬を平手でぶっ叩きました(よくやった!)。彼女は大声で尚文の潔白を語ります。もはや奴隷ではないというのに、彼を守ろうとする彼女の姿勢に周りの人々はもう何も言うことができませんでした。

周囲を黙らせたラフタリアは、今度こそ自分の決めた主人の元に駆け寄ります。そうして彼女は、尚文に語り掛けます、どうしたら自分を信じてくれるのかと。その言葉は届きません、裏切られ続けた彼の心が人を信じることを拒絶しているのです。それでも、ラフタリアは諦めません。私を信じられないなら、もう一度奴隷にしてほしい、しがみついてでも貴方に付いていくと。その言葉を聞いてようやく尚文の心は救われました。駄目だと分かっているのに、彼女の胸の中で静かに涙を流しました。

このラフタリアの語りからの、尚文説得への流れは、序盤での屈指の名場面でしょう。自分も尚文を思うラフタリアの健気さに胸が熱くなりました。ちなみに、この時になってあの可憐な少女だったラフタリアが大人の女性に変わってしまいます。これはこの瞬間に彼女が成長したわけではなく、亜人の特徴としてレベルが上がると急成長するので元から成長していたのです。それなのに尚文が今までそれに気づけなかったのは、マルティに裏切られた彼が少しでも心を許したラフタリアが、自分を裏切った女性を思わせるような、大人の女性になったことを直視できなかったからだと思われます。しっかりとラフタリアに本当の姿を認識できるようになったことからも、尚文の心の傷が癒えたことが見て取れます。


そうしてこの騒動は、一部始終を見ていた剣と弓の勇者が、盾の勇者の側についたことで収まりを見せました。

ここまでで盾の勇者の成り上がりのプロローグ部分の解説を終わります。……ここまで読んで「あれ?成り上がってないじゃないか」と思った方もいたかもしれません。はい、そうなんです。尚文の成り上がりはこれから始まっていくのです。ここからも彼は新しく奴隷を買ったり、マルティに復讐を果たしたりと、3勇教と呼ばれる組織と戦ったりと、様々な冒険を繰り広げていきます。ここに書いたことはこのお話の最初の部分に過ぎないのです。もしこの記事をみて少しでも尚文達のさらなる活躍が見たくなったのなら、アニメや漫画、小説を読んでみてください。きっと貴方の期待する成り上がりが見られること間違いなしです。