マンガ「スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました」の魅力をネタバレ込みで徹底解説!

「スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました」は、森田季節先生作の異世界転生もののライトノベルをシバユウスケの作画で『ガンガンONLINE』(スクウェア・エニックス)にてコミカライズされている作品です。


「スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました」は、ギャグテイストやバトルシーンが多めですが、主人公の転生ボーナスによる最強の強さや異世界の設定を巧妙に物語の中で生かしながら、キャラクター同士の関係性が和やかなペースでしっかりと描かれています。丁寧な描写に加え、原作の軽快さを失わない読みやすさが見事な作品で、例えば主人公の辛く苦しかった転生前のシーンは最初のたった1ページで終了します。

社畜からの転生

主人公のアズサ・アイザワは、転生前の現代世界では日本の会社で過酷な労働を強いられる27歳の社畜OLでした。彼女は最高50連勤など労働基準法を無視した環境で働き続け、ある日仕事中に意識を失いました。次に主人公の意識が覚醒した場面では、おそらく天使のような登場人物が出てきます。主人公に「過労死」だったことを伝え、その苦労を忍ぶシーンが印象的です。主人公は「ああ…私、死んだんですね……」と瞬時に察し、天使の「来世で幸せな生き方をしてもらいたい」「ご要望お聞きしますよ」という提案に対して、「不老不死にしてください」「スローライフを送るのが目的」「高原の家で自給自足」と答えます。あっさりOKした天使の「どうせなら若い女の子がいいですよね!十七歳くらいが私好きなんで!えーい!」というひと声で、転生シーンは終了です。転生までたったの3ページと物語のテンポの良さとスピード感が素晴らしいです。

転生後はスローライフ

転生後、主人公アズサは転生前の目的だった「スローライフ」を開始します。天使との会話を終えた次の転生後のシーンでは、いきなり異世界の高原に場面が移ります。その高原にある一軒家には、異世界の文字で「欲しい人がいたら差し上げます」と書かれた張り紙が貼られていました。転生ボーナスで異世界の文字もしっかり認識でき、アズサが早速そこに住むことに決めました。家の中に入り、鏡で転生後の自分の新しい姿を確認します。「たしかに十七歳だ」「顔もまずまずかわいいかな」とご満悦で、心機一転して人生を始めることを決意します。そして家からは近くに村があることも確認できたので、アズサは買い物にでかけます。アズサは歩きながら頭の整理がつきはじめ、自分が異世界に転生したであろうことをなんとなく察しはじめ、推測を裏打ちするように異世界の象徴であるような魔物が登場します。またあとで触れますが、その魔物「スライム」は、本作のタイトルにもあるようにキーポイントになってきます。


アズサは最初から装備していた短剣でスライムを何度か刺して、ようやく倒しました。スライムを倒した後に出現したお宝・魔法石を拾って、フラタ村のギルドに赴きます。ギルドで魔法石をこの世界の通貨に換金する際、「冒険者登録」を行い、アズサは自分のステータスを確認します。レベル1にも関わらず、転生ボーナスの効果で「不老不死」とステータス表示されており、ギルドの受付に驚かれていました。このシーン以降、300年のスローライフ生活が始まります。

コツコツと300年スライムを倒し続け・・・

300年間、「とにかくだらだらと」過ごします。しかし、だらだら過ごしながらも、スライムを「貴重な収入源なので最低二十匹は倒すことを日課とした」ので、300年間毎日20匹のスライムを倒し続けた経験値で、レベルがこつこつ上がっていきました。300年後のシーンでは、300年ぶりに改めてステータス確認をしたことで、レベルMAXになってることが判明。アズサの最強のステータスを見てギルドの受付が大騒ぎしたこともあり、そこに居合わせてその話を聞いていた冒険者からアズサの強さが世間に知れ渡ることになります。

レベルMAXが知れ渡り・・・

アズサの強さが世間に知れ渡ってから、様々な登場人物が現れます。最初のドラゴンである少女ライカを皮切りに、アズサに倒されたスライム達の魂が集まってできた精霊ファルファとシャルシャ、エルフのハルカラなど、個性豊かで魅力的なキャクターが登場して、アズサの仲間となります。アズサの強さに惹かれて勝負を挑んで最終的には弟子になったり、家族になったり、友達になったりと様々な関係を築いていきます。可愛くて美しい女性キャラクター達ばかりなので、目の保養にもなりますし、性格もとても素敵なので癒やされる人が続出しています。


女性キャラクター同士の絆をさわやかにほんわかと描いているところも楽しめます。また、バトルシーンも豊富です。毎度基本的にアズサの圧勝なので、余裕を持って楽しめます。バトルで使われる魔法や打撃など、丁寧にしっかりと描かれており、迫力があって面白いです。バトルはただ勝敗が決まるだけではなく、戦いを通じてキャラクターの関係性や生き方などの変化が描かれています。魔法や薬草、街や種族の設定も独特かつ細やかな世界観で、異世界ものの魅力を満喫できます。

また、「スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました」のコミカライズの原作であるライトノベルは、『このライトノベルがすごい!』2019年版で単行本・ノベルス部門9位にランクインするなど高く評価されています。原作とそのコミカライズである本作とを対比しながら読み進めるといった楽しみ方もできる奥深く素敵な作品です。

ラノベと漫画の両方読みがオススメ!